18歳イギリス人少年に2年の懲役判決。米国政府要人を機密情報への不正アクセスや被害者、家族へ脅迫。

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Summary
  • Gamble(18歳)という少年がアメリカの政府要人のアカウントを不正入手
  • 被害者、及び家族に対して脅迫を行なった
  • Gamble氏に対して少年院における2年の懲役判決

 

イギリスの少年が、数名の米国政府職員のオンラインアカウントを乗っ取るなどした罪で、先週金曜日に2年間懲役刑を言い渡された。

少年の名は、Kane Gamble氏(18歳)という。

 

Gamble氏について

Gamble氏は、レスターシャー州に両親と暮らしており、前CIA局長のJohn Brennan(ジョン・ブレナン)、James Clapper(ジェームス・クラッパー)元国防長官、Mark Giuliano(マーク・ジュリアーノ)元FBI副長官をはじめ、その他上級FBI職員の電子メールアカウントをハッキングしたとされる。

Gamble氏は、”Cracka”というハンドルネームで、わずか15歳ながら”Crackas With Attitude(以下、CWA)”という、”パレスチナ擁護派”のクラッカーグループを起ち上げた。

CWAは、米国情報当局に対する一連のサイバー攻撃を行い、約20,000人のFBIエージェント、アメリカ国土安全保障省に勤める9,000人の職員、更には、2015年にはアメリカ司法省職員の個人情報の漏洩も行なった。

Gamble氏の起訴内容

2016年2月、イギリス・Coalvilleの自宅にて逮捕され、昨年10月に以下の罪状で起訴された。

  • 「無許可アクセスを維持する活動を行なった」
  • 「コンピュータに関わる情報を不正に変更しようとした」

本年1月の時点で、Gamble氏に対する判決は延期されていた。

しかし先週金曜日の午後、ロンドンのオールド・ベイルリー中央刑事裁判所は、Gamble氏に対して、青少年拘置所で2年間の労働を課したとBBCは報じている。

裁判所の聴聞会中、Gamble氏の弁護士は「Gambleは”ナイーブ”、個人に対して危害を加えるつもりはなかった」と主張。

しかし、裁判官は「Gamble氏が行なった事は、政治的に動機付けされた非常に許しがたいキャンペーンである」とした。

Gamble氏が行なった事とは

Gamble氏は数々の犯行を犯したようだが、その具体例を挙げていく。

インテリジェンス文書へのアクセス

2015年6月〜2016年2月の間、前CIA局長Brennan氏を装い、コールセンターやヘルパーのスタッフに対してソーシャルエンジニアリングを行なった。

その際Gamble氏は、ブロードバンドとケーブルのパスワードを盗み、CWAのクルー達に共有。

アメリカの、アフガニスタンとイランにおけるインテリジェンス活動が記載された機密文書へアクセスを行なった。

被害者家族への脅迫・嫌がらせ

Gamble氏は、被害者の家族に対する脅迫電話、膨大な件数にのぼるメール送信を行なった。

更に、被害者及びその家族の個人情報を公開したり、ポルノ動画のダウンロードを行なったり、iPadやTVの遠隔操作も行なったようだ。

前CIA局長のBrennan氏に対しては、自宅に脅迫電話をかけ、夫人のiPadへのアクセス権限を取得。

アメリカ合衆国国土安全保障省秘書・ジョンソン氏には、同氏の娘の写真と共に、「彼女に対して危害を加える」という内容の脅迫メールを送信。

Gamble氏は、ジョンソン氏の妻に電話をかけ、「やあ君達、怖がっているかい?」という留守番電話メッセージを残した。

更に、「I own you」というメッセージをジョンソン氏の自宅のテレビに表示した。

Gamble氏の動機とは

Gamble氏は、一連の犯行を行なった事に対して、以下の様に述べている。

「米国政府の腐敗と冷徹さに対して嫌気が刺しており、自分から行動を起こすことに決めた」

また、過去の報告によれば、Gamble氏は自閉症スペクトラム障害を患い、12歳または13歳相当の精神発達状態だったとされる。

Gamble氏の弁護側は金曜日、執行猶予を求め、「6月にGCSEテストを受け、大学でコンピュータサイエンスの研究に取り組み、「有用な」キャリアを追求することができる」と主張。

尚、CWAのメンバーであったAndrew Otto Boggs氏と、Justin Gray Liverman氏は、2016年9月にFBIに逮捕され、すでに連邦刑務所でそれぞれ2年、5年の懲役判決を受け、服役している。